「頑張れ」「もっと積極的に」。そう声をかけても、子どものやる気にはつながらない…。
私も長い間そう感じていました。しかし、ある一つの質問に変えただけで、息子の表情が明らかに変わりました。今回は、その声かけと気づきについてお話しします。
サッカーをしている子どもに、親としてどんな言葉をかければいいのか。私はずっと迷っていました。
「頑張れ」と言えば、プレッシャーになる。
「もっと積極的に」と言えば、萎縮してしまう。
何を言っても、あまり響いていないように感じる日が続いていました。
私がかけていた「効かない声かけ」
試合の後、私はいつも同じようなことを言っていました。
「今日はどうだった?」
「うーん、普通。」
「シュート、もっと打っていけばよかったのに。」
「うん…。」
会話はいつもそこで終わっていました。息子は特に不満そうでもありませんが、目が輝くような反応も返ってきません。
私は、良かれと思って感想やアドバイスを伝えていました。でも今思えば、それはすべて「私が見てどう思ったか」でしかありませんでした。息子自身がどう感じていたかを、私はほとんど聞いていなかったのです。
「練習しなさい」と声をかけても動かなかった、以前の失敗談はこちらの記事でも書いています。
何気ない夕食の席で出た質問
きっかけは、特別なタイミングではありませんでした。夕食を食べながら、なんとなく聞いてみたのです。
「どんな選手になりたい?」
それまで、この質問をしたことはありませんでした。「もっと頑張って」とは言っても、「どうなりたいか」を聞いたことがなかったのです。
息子は少し考えてから、答えました。
「クリスティアーノ・ロナウド。」
日本代表の選手ではなく、海外の選手の名前が返ってきたことに、少し驚きました。
「どこが好きなの?」
そう聞くと、
- シュートが強いところ
- 最後まで諦めないところ
- オーラがあるところ
一つひとつ、はっきりとした理由が返ってきました。「普通」としか答えなかったいつもの会話とは、明らかに違っていました。
息子の目の輝きが変わった瞬間
その時の息子の表情を、今でもよく覚えています。試合の感想を聞いていた時よりも、ずっと目が輝いていました。
私はその時、初めて気づきました。
子どものやる気を引き出すのは、親からの評価やアドバイスではなく、「その子自身が誰に、何に憧れているか」を知ることなんだと。
親が良いと思うプレーと、子どもが目指したいプレーは、必ずしも同じではありません。私はずっと、自分の物差しで息子を見ていました。
声かけを変えてから起きた変化
この日をきっかけに、私の声かけは少しずつ変わっていきました。
「もっと積極的に」ではなく、「ロナウドならどうすると思う?」。
「なんでできないの」ではなく、「今、何を意識してた?」。
言葉を変えただけですが、息子の反応は明らかに違いました。黙り込むことが減り、自分から話すようになったのです。
実際に「ロナウドみたいに」という声かけで練習に取り組んだ日の様子は、こちらの記事でも詳しく書いています。
この経験から学んだこと
今回の出来事から、親として大切だと感じたことがあります。
① 評価より先に、質問をする
「良かった」「もっとこうすれば」という評価は、聞かれてもいないのに与えてしまいがちです。まずは子ども自身がどう感じているかを聞くことを、意識するようになりました。
② 憧れの対象は、子どもによって違う
日本代表かもしれないし、海外の選手かもしれません。あるいは、身近な誰かかもしれません。親が想定していないところに、子どもの原動力があることを知りました。
③ 会話の内容より、聞く姿勢が大切
特別な言葉を選ばなくても、興味を持って聞くだけで、子どもの話し方は変わります。声かけの工夫は、テクニックというより姿勢の問題なのかもしれません。
同じ悩みを持つ親御さんへ
子どもにどう声をかければいいのか分からない。そう感じている親御さんは、私だけではないと思います。
もし今、子どもとの会話がどこか噛み合わないと感じているなら、一度「どんな選手になりたい?」と聞いてみてください。サッカーに限らず、「何が好き?」「誰みたいになりたい?」でも構いません。
答えの内容よりも、子ども自身の言葉で語ってもらう時間そのものが、次への一歩につながるように思います。
サッカーに限らず、子どもとの会話で「うまく話が続かない」と感じることは、私自身これまで何度もありました。今振り返ると、それは会話の技術の問題ではなく、私が話を聞くより先に、何かを伝えようとしていたからだと思います。
「どんな選手になりたい?」という質問は、特別な言葉ではありません。それでも、子どもが自分の言葉で答えを探す時間をつくることができました。これからも、答えを急がず、まず聞くことを続けていこうと思います。